仮設マニュアル VOL16
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183 コンクリート型枠の場合、強度チェックを両端フリーの単純梁で行うか、両端固定梁として扱うかも議論のあるところであるが、せき板の場合は、両端固定梁の要素がはいっているとしても、前に述べたように、吸水による強度低下、転用による損傷の大きさなど、かなりマイナスの要因があるので、メタルフォームやアルミ型枠など金属製の型枠を除けば、すべて単純梁として扱うのが合理的である。 桟木・根太・大引など支保工材は単純梁と両端固定梁の中間、すなわち、連続梁として取り扱えば、最も実情に合っているのではないかと考える。 一般に両端固定梁の場合、単純梁と比較し、大ざっぱに見て、撓みは約1/4、応力は1/2~1/3に減少するので両端固定梁と単純梁の中間を採れば、撓みは単純梁の1/2、応力は約1/3減少することになる。表-5に常用の公式を整理して示す。ただし、この表はあくまでも現場で強度チェックを行う場合、常用の範囲内で十分間に合うことを示しているのみで、厳密に式を構成するような永久構造物の場合には適合しないことを断わっておく。 なにぶん、仮設物は一般の恒久的建造物とは異なり、あくまでも“仮の物”であるから、一定した説がなく、実際に現場を担当する技術者の考え方にまかされる部分が非常に大きいので、数値や計算式も細かいところにとらわれず、大所高所からみて間違いがなければ、それで十分と考えるべきである。 床板や梁においては、コンクリートの自重が等分布鉛直荷重として直接的に作用する。梁成が大きい場合には側圧が問題となるが、これは柱・壁の場合に準じればよい。 ところで、コンクリートの密度は鉄筋も含めて2.4t/㎥であり、床板の厚さをd(m)とすれば、自重は2.4dt/㎡となり、これが固定荷重である。しかし、このほかにも積載荷重として、シュートやカートからの直接投入による衝撃荷重と、カート車や作業員およびカート道坂の荷重などを考慮しなければならない。衝撃荷重については、固定荷重の1/2を加えればよく、作業員やカート車などの荷重については『労働安全衛生規則』で150㎏/㎡とすることが定められており、これが妥当な線であろう。 そこで床板の厚さを12㎝(0.12m)と仮定して、これらを加えてみると、総荷重は次のようになる。 固定荷重 W1=2,400㎏/㎥×0.12=288㎏/㎡ 衝撃荷重 W2= 288㎏/㎡×0.5 =144㎏/㎡ 打設荷重 W3=2,400 =150㎏/㎡  総荷重 W =  W1十W2十W3 =582㎏/㎡ また、荷重 W を縦軸に、スラブの厚さ d を横軸にとれば、図-1のようになる。 バイブレーターの使用は、この場合、柱や壁のときのように大きな影響因子とはならないから考慮する必要はない。型枠の重量は無視してもよい。 次に、梁の場合も床板に準じて荷重を決定すればよく、梁の厚さと荷重の関係を図-2に示した。 ただし、梁の場合は普通、鉄骨鉄筋コンクリートとなるために、鉄骨がかなりの拘束を与えるから、荷重をやや少なくすることができよう。したがって、鉄骨鉄筋梁の場合は、打設荷重150㎏/㎡を除いたものを総荷重としてよい。 W=2,400×1.5HH:梁成荷重のとり方支保工 (パイプサポートを使用した場合の計算例)計算の方法

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